活劇編


第1章 伝説の人魚
 俺の名は菜鴨(なかも)。伝説の人魚、きみ子を探す冒険家だ。「人魚はおやつの戸棚に現る」これが唯一の手がかりだ。そこで俺はおやつの戸棚の第一人者である、川藤君の所へ行ってきます。
 川藤君は俺と出会ったとたん、
「どっき〜んぐ!」
 と叫び、ピロピロピロピロと奇怪な音と光を出しながら、すり足で近づいてくる。目はマジだ。その姿は恐怖すら感じる。俺もやるのか?俺もやらなければいけないのか!?
 ガッシーン!!俺と川藤君は獣機合神サオマイマー。サオマイマーはビーストとマシンの夢の架け橋。電撃肉球の掌底に耐えられる者はいない。そして、ムササビをヒントにして造られた、ムササビ機関によって音速の世界へ。まさに大怪獣空中大決戦前。
 うわぁ〜!やってられぇ!考えただけでも恐ろしい。何だ?この体の奥からくる恥ずかしさは……。俺は赤面しながら川藤君を突き飛ばした。


第2章 浪花節
 川藤君のそれは、どうやら俺の思いすごしのようだ。これは戦隊物ではないのだ。怪人が巨大化するなんてことはないし、新幹線が合体することもない。
 ところでおやつの戸棚の件はどうなった?そう、それなのだ、それ。きみ子を捜さなければ……。俺の母さんはアデランスイブのモデルさん。今日も何処かで、イブと地毛を馴染ませている。
「母さん!ずれてる!ずれてるよぅ。」
 このずれを直すには……そう、きみ子が必要なのだ!
 人情家の川藤君は、涙を流しながら俺の話を聞いてくれた。俺と川藤君はタッグマッチを楽しんだ。相手は江尻兄弟。受験シーズンだというのに、彼らは快く胸を貸してくれた。60分3本勝負の1本目は取られたが、2本目は取り返した。勝敗は次の試合に懸かっているのだ。


第3章 おやつの戸棚
「金曜日は集金があるんだ。」
 と言い残し、出かけていった川藤君は今どこに?仕方がない、俺1人でおやつの戸棚の定義を吟味しよう。
 おやつの戸棚、それは学名「芳香盲腸」。いい匂いのする盲腸に相通じるものがあるのだ。類似品に注意ね。さらに、おやつの戸棚は妄想家の猛襲に耐えられる作りでなければいけない。だけどタンスはダメだよ。押し入れもダメ。カンカンはいいかな?


第4章 真実
 シーズンオフだというのに、川藤君は神隠しにあった。情けない奴だ。
 ピー、ピー、鼻で息をすると音がする。これは俺のワシ鼻メーターが針を振り切った音だ。きみ子は間違いなくこの近くにいる。
「私は埼玉から来ました。」
 なんてことだ。きみ子もドーナツ化現象に便乗して、東京から移り住んできた口だなんて。正月に芋版を彫ったが、結局、年賀状に使わなかったの。
「うそ、俺は右回りで教わったよ。」
 彼女の学校は左回りで教えているらしい。それに、変わった腕時計をしている。俺と彼女は話が弾んだ。


へぇ〜、これ短針?