チャンプ編


 天然チャンピオンの斉藤さんは、未だに結婚できない。本人は独身貴族と言い張っているが、本当は相手がいないということをみんな分かっている。
 その原因は斉藤さん自身にあると思われる。斉藤さんの肩にはツノが生えているのだ。そんな肩でタックルされたらひとたまりもないからね。
 それに、肩にツノが生えてるってことはトレーナーを肩にかけられないってことだ。それは困った。大変だ。その着こなしは好青年の証なのに。
 トレーナーをわざと着ないで、おしゃれ小道具として使うやつは、春うらら。淡い色だね、そのセーター。
 斉藤さんはTVのお見合い番組に出場するために、メンバーを募った。その番組は1チーム3人で募集しているのだ。職安仲間の鴨田君と中嶋さん。なかなかの二枚目の2人だ。これならきっと相手が見つかるだろう。
 他に出場するチームは日本チーム、アメリカチーム、そして……主人公チーム。えっ、もしかしてこれ……KOF?そ、そんなバカな。そんなことはあり得ないはずだ。だって、これは現実なのだ。学生服の袖をまくりまくり上げても白くない。裏地は白くないんだよ。現実はテカテカしてる。テカテカしてるんだよ!
 チャンプは必死だった。そりゃそうだ。この年齢になってバーンナックルはかなり無理がある。それなのに、ボガードはいいかげん定職に就けと、痛いところを攻めてくる。
 Tシャツの両脇が破れて動きが鈍い(穴が見られると恥ずかしいから、その穴を隠すためにダイナミックに動けない)鴨田君はフリータイムの前に脱落だ。
 暑い。人生のパートナーを決めるという正念場に、2人は汗だくだ。鴨田君の抜けた穴は大きい。実際、Tシャツの穴も大きかったけどね。
 2人はよりいっそう汗だくだ。体内のサーモスタットがいかれている。そのせいで朝のパンがうまく焼けないのだ。つまり朝食は和食になり、これからの日本は、アメリカ新時代を迎えられない。
 チャンプはシュミレートしてみる。アメリカ新時代を迎えられなかった日本を。大変だ。このままでは50年後、日本のカレーはすべてドライカレーになる。しかも、干しぶどう入りだ!


干しぶどうは入れんといてぇ