帰ってこない……。インドに行ったきり、寝たきり。本場の味に、巻き舌のできない兄貴は七転八倒。
そんな兄貴が今、インド人に着せられつつあるその衣は、人生ゲームの橋を一番最初に渡り、他の人がそこを通る度にお金をもらって逆転した、アイツのお下がり。
まつり縫いが厳しいよ。だって、アイツのそれは婦人服。4階で買ってきた婦人服。そう、4階は濁りのない、完璧な婦人服売場。婦人度、濃厚。
「えぇ、これ婦人服!?」
そう、婦人服なのだ。もはや、デザイン云々の問題ではない。素材の時点ですでに婦人気味。婦人素材だ。裏地の刺繍だって婦人風。その肩パットの厚みだって婦人系。純婦人系。ナチュラルに婦人系。キラキラしてるよ。
「じゃ、これ買います」
そう言いながら、兄貴はガマ口を開いた。