毛布の匂いが気になって眠れない。昨日も一昨日も眠れなかった。今日も眠れそうにない。明日も明後日もきっと眠れないだろう。
「そんなに気になるなら、洗えばいいじゃん」
そうなんだけど、これがまた忘れちゃうんだよね。
眠ることをあきらめ、テレビをつける。アメリカ人が腹筋している。うむ、予想通りだ。
うう……寒い。快適空間を作り出すために、ファンヒーターに話しかける。
きっかけ?なければ作ればいいのだ。なぁに簡単なことさ。彼女の前で物を落とす。ベタだけど、これが1番確実なのだ。
インドの粉のことや、人造イクラのことなどを話した。そうそう、合い服を着るタイミングの話で盛り上がったんだ。
暖かい……。と思ってきたところで、給油ランプの奴が騒ぎ出した。
「こんな中途な関係のままではいたくないわ」
と彼女は言う。
……別れの予感。もう、潮時だと自分に言い聞かせ、涙をぐっとこらえる。
冬のプラットホーム。吐く息が白い。彼女の息も白い。なぜその能力を僕の部屋で発揮してくれなっかたのか。そうすれば、もう少しいい関係が続いたかも知れないのに……。
いや、今となってはもう、どうしようもないことなのだ。やり直しはできない。そう、2人の間にはリセットボタンはないのだ。
愛だの恋だのに、気の回らないこだまは、駅長の言われるがままにドアを閉める。痛っ!鼻が挟まれた。イタリアを匂わせる、自慢の鼻が挟まれた。
それはそれとして電気ストーブをつける。課長に昇進したばかりの彼は、最近、自分に自信がついてきた。彼の仁王立ちに僕は苦笑い。
「ちょっと過剰だよ」
と僕が言うと、彼は荷物をまとめて実家に帰ってしまった。仕方がない。いつかこうなると分かっていたんだ。彼とはウマが合わない。いや、彼のためにもはっきり言おう。彼の立ち位置は近すぎる。熱いんだよっ!
寒さに耐えながら、揚げ物をほおばる。食べても中身がなんなのか、いまいち分からない。それがカレー風味であるということ以外分からない。
窓の外が明るくなってきた。朝か……。なんだか思春期のにきびがひどく痛む 。なんで近未来の洋服は銀色なんだろう。保温が効くのかな。そんなことを思いながら、電気屋さんを招き入れる。
その時、大変なことに気付いた。僕のフランネルのパジャマが、あの毛布の気になる匂い。僕は涙ぐみながら電気屋さんともみ洗い。僕と電気屋さんとの連携で、気になる匂いは皆無。
そんなこんなで気付けば、もう夜の9時。ロードショー見て眠らなきゃ。
「オヤスミナサイ」
あぁ、毛布の匂いが気になる!結局、今日も洗うことができなかった。
「そんなに気になるなら洗えばいいじゃん」
と言うアイツの笑顔が、まぶたに焼き付いて離れない。
とにかく今夜もハッスルハッスル。