乳液編


 俺は札付きの悪党。悪漢の中の悪漢だ。俺の欺瞞に満ち満ちた言動は、無気力な猫を帰郷させるほど。とにかく俺は悪なのだ。悪で悪で仕方がないのだ。
 えげつない俺は、街で出会った級友に、殺人鎖骨折りチョップを憎しみを込めてかます。パンを見ると必ずつぶす。先カンブリア時代の化石でも、割る自身はあるし、子育てだって放棄します。……我が子を猫に押しつけます。
 そんな俺だけど、いやな噂が広まっている。俺よりもあくどいやつがいるというのだ。そいつの名は骨膜。十字路をT字路に変える男だ。
 こうなったら骨膜武と直談判だ!
 骨膜の嘲笑的な態度は、俺の爺ちゃんを死に際まで追い込んだ。噂されるだけの事はある。だが、俺には勝てない。だって俺は保護者同伴。ミソジ前なのに……。
 それにびびった骨膜は、爺ちゃんに攻撃を加える。しかし、俺は見て見ぬ振りをした。そのせいで、今、爺ちゃんは煮込まれている。アクを取るのが大変だ。
 5時間煮込んだ爺ちゃんの上澄みは、乳液として大人気。
 爺ちゃんの乳液は大人気でも、俺と骨膜の戦いは続く……。骨膜はなかなかの悪だ。だが、それに俺が劣っているとは感じない。上だ、俺の方が上のはずだ。俺が骨膜に負ける要素は、1つも見つからないのだ。
 と、思った直後、俺はあっさり負けてしまった。骨膜は妖精が見えると言い張るのだ。俺にはそんなウソはつけない。俺の完全な負けだ。
 ……ほんとに妖精見えるのかな?


煮込みすぎ